日本における中国語学習者数はいったい何人か?
(GP代表 住田 崇)
インターネットで調べてみると、2003年末が100万人で、その後年々10%の伸びとされているという。この数字を“真”とするなら、2008年末には160万人を突破していることになる。今現在、約150万人が中国語を勉強していることになる。80人に一人の割合だ。日本にいてると、それほど多くの日本人が中国語を学んでいるという実感はわかない。
NHKの中国語講座のテキスト本は14万冊(04年)売れているそうだ。年間14万冊なら、毎月定期的に購入している中国語学習者は単純に言えば1万人そこそこ。そして、中国語検定試験の受験者数が年5万人。複数回受験する人もいるだろうから総数は3万5,6千人ぐらいだろうか。面白いデータとしては、現在日本では約600校の高校で中国語の授業が設定されていて、年間120時間近く勉強しているという。一クラス35人としても2万人の高校生が勉強していることになる。中国における留学生数は年間3万人ほどだ。 そして、中国への旅行者数は2007年、400万人を突破した。留学生、駐在員、その家族を含めれば、中国国内には年間12万人ほどの日本人が滞在している。
いろいろと数字を挙げてみたが、確実に正確な絶対的中国語学習者人口は出すこと困難だ。あくまでも憶測が入る。しかし、「正確でない=でたらめ」ではない。以上のデータから、現在、少なくとも30万人から40万人ぐらいは中国語学習者はいるのだろう。実に日本人の300人から400人に一人ぐらいとなるのではないだろうか。今後数年、年率10%で学習者人口は伸びるなら、10年後には100万人を超えるだろう。実に日本国民120人に一人の割合だ。
英語は世界でも日本でも最も学ばれている外国語である。その理由は、簡単だ。英語圏の国々からの情報、知識が今の世界の最先端だからだ。科学、制度、経済、政治、ファッション、文化など、人間生活のあらゆる部分で、最先端の制度や枠組み、モノがそこにあり、“カルチャ”が、そこから生まれているからである。英語を学ぶことで、それらの情報、モノに触れることができることが、英語を学ぶ意義の本質とも言える。
その視点で見れば、残念ながら中国語を学ぶ意義は低い。中国語には、最先端の情報もなければモノもまだない。情報も人も発展途上の国の言葉である。最近のニュースで言えば、「毒入りギョーザ」「チベット問題」「聖火リレーでの留学生らのデモ」・・・日本人の中の中国の心象は非常に悪い。北京オリンピックを目前にして、中国はイメージをよくできない。それらも、日本人にとって、中国語を学ぶ意義にマイナスポイントだ。
一方で、歴史、地政学、経済の観点から見れば、今後は英語圏の国から受ける以上の影響を日本にもたらす国が中国だ。言うまでもなく、日本の言葉に欠かせない漢字の母国であり、歴史的つながりは最も深い国である。日本からの距離も近い。距離の近さは経済の結びつきも強める。そこに、最近では経済格差の解消も始まってきている。日本と中国の距離は、歴史上なかったほどに近づいている。
すでに、日本の生活は中国抜きには成立しない。「毒ギョーザ問題」「残留農薬問題」があっても、中国を抜きにして、今の日本は食糧もままならない。自分たちの着ている衣料のタグをみればいい。“made in China”が何着あるだろうか?
次に訪れるステージは、モノではなく、人と情報である。経済の結びつきが強まれば人的交流も必ず増える。 もうすでに、日本人の生活は中国人とは無関係ではない。例を挙げれば、職場で、生活圏で、中国人と触れ合う機会が増えるということだ。
この20年、日本の多くの企業が中国に進出した。そして、ここ数年、現地化へ向かって動いている。21世紀、企業の成功はこの世界最大の市場でいかに成功するかである。中国での成功とは何か?例えば、トヨタ自動車を取り上げるなら、それは中国でも“TOYOTA”であり、もしくは“豊田(feng1tian2)”であることだ。「トヨタ」であってはならない。
いつの日か中国人から「TOYOTAはどこの国の会社?」といわれるほどに、中国に溶け込み親しまれることで初めて“チャイナマーケット”で大成功を収めることができる。
中国で成功を収めた企業では、当然ながら日本人社員と中国人社員との交流の機会は増える。これは、中国に進出する全ての業種の成功にいえることではないだろうか。 日系企業に働く優秀な中国人人材が日本人駐在員に代わり、中国での営業をコントロールするようにならなければ、企業としては、外資との“チャイナマーケット”における熾烈な競争には勝てないだろう。
日系企業に働くリーダー的中国人人材は上手に日本語を操る。「中国語を話せなくても大丈夫。日本語で彼らと話を進めたほうが日本人には有利」と考えるのも、浅はかすぎる。日本人にも、中国語で中国人と仕事を遂行していける能力を求められるようになっていくのではないだろうか。日本語しか話せない日本人社員の仕事、重要な仕事は、いずれ二ヶ国語、三ヶ国語を操る優秀な中国人社員に回っていくに違いない。彼らの活躍によって日本企業は増益を果たすようになる。まだ5,6年は日本人という特権だけで、今の給与、生活を何とか確保できるだろう。しかし、10年後には、同じオフィス内で働く日本人、中国人の給与所得には大きな差はなくなってくるのではなかろうか。それは、中国人の給与のインフレと、日本人の給与のデフレの両方からもたらされる結果だ。二つの傾向は、日本でも、中国でもすでに始まっている。 日本人が中国語を学ぶ意義は、ビジネスという意味では英語とは少し異なるかもしれない。
世界では3000万人の人々が中国語を学んでいる。英語圏の学習者も多い。将来的には1億人に達するとのデータもある。これは、世界中の人々が21世紀、中国のビジネスにおける重要性を認識しているからだろう。日本でも中国語への需要が増えていくことは間違いない。「中国に興味はない」「中国語は全くわかりません」という人材では、企業も扱いにくい。ビジネスで生き抜く強力なツールとして、ますます注目される中国語。「中国語を学ぶ意義」それをビジネスという視点で切ってみれば、そういうことになるのではないかと考える。
代表プロフィール住田 崇(すみだ たかし)立命館大学卒業。在学中は南京大学に留学。23歳で初めて中国語を学ぶ。大学卒業後、京都新聞社編集局で記者として約8年、滋賀、京都を中心に取材・執筆。同社を辞めた後、家族3人一緒にニュージーランド・クライストチャーチで4ヶ月過ごし、2005年、家族で北京へ。中国人研修生派遣、語学留学生、農民工の問題を中国の現場から取材。発展著しい北京で、独自の視点から中国現地情報、中国語学習教材を日本へ発信することを目的にしたGOKU-PROJECTを起業して、現在に至る。
2008年05月07日
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